高松高等裁判所 昭和25年(う)567号 判決
職権を以て調査するに本件公訴事実は被告人は政府の免許を受けずに昭和二十五年二月三日頃徳島県勝浦郡小松島町字馬場の本、姜昌翰方で粳精米三升五合位と生甘藷十貫匁位と水二斗位を四斗樽に仕込み同月十二日頃蒸溜器、冷却器等を使用して蒸溜し焼酎二斗二升五合位を製造したと云うのであつて原審はこの事実を認定し有罪の判決をしたのである。しかし間接国税に関する犯則事件は国税犯則取締法に基く適法な告発がなされたことが公訴提起の条件であつてその告発権者は同法第十四条の定める国税局長又は税務署長及同法第十三条該当の場合に於ける国税庁又は税務署の収税官吏であつてそれ以外の者には告発権がない。然るに本件については小松島警察署司法警察員作成の告発書が提出されているけれども該告発は不適法であつて告発たるの効力を有しないものであり、その他に適法な告発のあつたことを認め得る証憑はない。故に本件は公訴提起の手続が規定に違反したため無効であるから刑事訴訟法第三百三十八条第四号により公訴棄却の判決をすべきであつて原判決は破棄を免かれない。